ヴェローナは現在では、歴史、文化的な伝統と、ヨーロッパのモダンな部分とが完璧なまでに組み合わさった見本のような街です。中心街の小道を散歩してみれば、教会や由緒ある建物が、現代的な生活の美しい背景となっているのがわかるでしょう。仕事や勉強が終わった頃に広場で落ち合い、有名な「スプリッツ」を飲みながら同僚や友達とおしゃべりをするのが、ヴェローナの人々の典型的なライフスタイルです。どの道角にも地元の料理を出すオステリアやトラットリアがあり、夕飯の時間には満員になります。こうした食事処からは、その日その日の異なる地元料理を、得意に解説する声が聞こえてきます。勿論、深夜まで賑わう生演奏のバーやクラブなどの存在もかかせません。
一方で、郊外地域は生産工場や商業の中心地でもあり、世界に進出している様々なメーカーの敷地もあります。さらに、街ではイタリア内で最も有名な展覧会の数々も開かれており、毎年百万人もの人が訪れます。また芸術を愛する人にとっても、ヴェローナは最適な街です。
それでは以下に、もっとも重要なイベントをご紹介いたします。
アレーナと野外音楽祭
アレーナ野外劇場はローマ時代の競技場の中でもとてもコンディションの良い遺跡の一つで、野外劇場として世界最大の規模を誇るだけでなく、毎年6月から9月まではクラシックオペラの世界で最も注目を集める野外音楽祭が開かれます。ヴェルディ、プッチーニ、ビゼー等の名だたる作曲家の主要なオペラ作品が、この野外の風景と見事にマッチし、忘れがたい情景を生み出します。ぜひみなさんも競技場の階段に腰掛けて、ジュゼッペ・ヴェルディ作曲《アイーダ》の壮麗な響きに包まれて素敵な夏の夜を過ごしてください!
オペラだけでなく、ブルース・スプリングスティーン、コールドプレイ、レディオヘッドなどポップやロック音楽のファンにとっても欠かせないコンサートもしばしば行われます。
ワイン品評会と展覧会
四月には、世界の酒造業界で最も重要なイベントが行われます。それはヴィニタリーという名のワイン品評会です。この会はワイン業に関わる全ての人から、ワイン愛好家まで広くの人に門戸が開かれており、開催期間中は世界中のワインについて学び、テイスティングをすることができます。
他に人気の高い展覧会としては天然石の販売会や、家具の展覧会などがあります。
ローマ劇場と夏の演劇祭
アディジェ川沿いの丘のふもとに紀元前1世紀に建築されたローマ劇場では、毎夏シェークスピアをはじめとする多様な演劇を観ることができます。また、音楽のコンサートもあり、中でもヴェローナのジャズ・フェスティヴァルは際立った存在です。
歴史を深く含んだ場所、そして美しいロケーションがそれぞれのステージをさらに際立たせ、忘れられない思い出を演出することでしょう。
恋の街
二月のヴェローナは最高の恋の街に様変わりします。世界でも最も有名な恋人であるジュリエッタとロミオのことを思い出しながら、それぞれの通りがデコレーションされ、恋愛にまつわる舞台作品やコンサートなどが頻繁に開催されます。
さらに四月には、「愛のスクリーン」と題した国際映画祭が開かれ、全時代の恋愛映画を鑑賞することができます。
ヴェローナの歴史
ヴェローナの歴史
ジュリアス・シーザーによって、ヴェローナには49年からローマ人が住むようになり、わずかの間にヴェローナは、ローマ帝国最大の政治・商業の中心地となりました。そのおかげで街には、アレーナやローマ劇場、ボルサリ門など、その時代の重要な遺跡が残っています。ローマ帝国の崩壊の後、ヴェローナは何度となく異民族による侵略国家の首都となりました。東ゴート王国のテオドリック大王がこの地を占拠した時に、異民族の侵入によって半壊していた壁を修復したため、街全体はかつての輝きを取り戻しました。その後ヴェローナはランゴバルドの元におかれ、シャルルマーニュの時代までその支配は続きました。
1136年には権利を得て自治都市となりましたが、この時期には二大勢力であったグエルフェ家とギベッリーネ家(『ロミオとジュリエット』で有名なモンテッキ家を主導とする)との間で血なまぐさい抗争が起こりました。街は自治都市からスカラ家(一家の者はスカリジェリと呼ばれる)の支配へと変遷し、スカラ家のカングランデ一世のおかげで、貴族的な街として脚光を浴びることになりました。ダンテも『神曲』の天国編の3分の2をこの地で書き上げ、芸術的、文化的にも輝かしい時代となりました。
1405年からはルネッサンスの間を通じて、ヴェネツィア共和国の支配下となりました。続いてはフランス、さらにはオーストリアからの標的となり、ヴェローナは自衛の必要から政治と軍隊の結びつきを強固にしました。今でも街周辺に存在する無数の城跡は、その頃の名残です。リソルジメント(イタリア国家統一運動)に際しては、ヴェローナ周辺では凄惨な戦いが繰り広げられ、それは1866年に、ヴェローナが遂に「イタリア」になるまで続くこととなりました。
GASTRONOMY, ART, NEARBY
食文化、ワイン
ヴェローナの食文化は、ローマ皇帝時代にもさかのぼることができるほど、伝統的なものです。当時より、ヴェローナの人々は、昼食が豪華で美味であることや、造られるワインのレベルの高さで知られていました。食に対する愛情は、現在までも引き継がれており、それはヴェネトの伝統的な料理を味わってみればすぐに理解することができます。プリモ・ピアット(第一の料理)としては、トルテッリーニ(中に肉などを詰めて小さく形作ったパスタの一種)やアマローネ(ヴェローナの最高級ワイン)で味付たリゾット、ビーゴリ(手打ちの丸くて太いスパゲッティ)などがおすすめです。セコンド・ピアット(第二の料理)の代表的なものはお肉の煮たものにペアラという名前の、胡椒たっぷりのとろっとしたコンソメソースをかけたものがあります。食後には、今や世界的に有名になったパンドーロを召し上がってみて下さい。
またヴァルポリチェッラ、アマローネ、ソアーヴェといったこの地のワインは世界でも評判が高く有名です。街の周辺には無数のワイン酒造家があり、テイスティングも可能です。
生徒のみなさんに、より食文化について知っていただくために、学校では定期的にワインのテイスティング、チーズの味くらべなどのツアーを計画しています。土地が誇る味覚を体験するために、ヴェローナ郊外まで足を伸ばしてみてはいかがでしょうか。
アートの街
ヴェローナを訪れる人は誰でも、街全体をきらびやかに飾る古い建造物の優美さ、そして芸術的、歴史的、文化的な遺産の豊かさに驚くことでしょう。ガーヴィのアーチ、ポンテ橋、ボルサリ門、レオーナ門、ローマ劇場などのローマ時代の足跡に魅了されることでしょう。とりわけアレーナ・ディ・ヴェローナでは毎夏オペラの野外音楽祭が催され、世界中からの人々が集まります。
サン・ゼーノ教会、ドゥオーモ、サン・フェルモ大教会などはロマネスク様式、ゴシック様式の代表例です。サンタ・マリア教会のそばには、1260年から1387年までヴェローナを支配したスカラ家の墓場であるアーチがあります。
市民の建造物の中で最も重要なものは、やはりヴェッキオ城でしょう。現在では美術館になっています。
そして、ヴェローナがイタリアの中でも人気がある理由は、シェークスピアの悲劇『ロミオとジュリエット』の舞台として選ばれた、ということもあげられるでしょう。あの有名なバルコニーがあるジュリエットの家はもちろん、古い修道院の敷地内に作られたジュリエットの墓も、特別に人気がある観光スポットです。
ヴェローナ郊外
ヴェローナは観光やスポーツが好きな方には理想的な街です。イタリアの素晴らしい部分を十分に味わうことができます。イタリア最大の湖であるガルダ湖は、車で30分ほどのところにあります。夏の暑さから逃れてビーチを楽しみたい人にとってはちょうど良い距離ですし、登山が好きな方は湖を囲むバルド山で自然に囲まれて過ごすこともできます。
また、夜になると、湖周辺のテーマパークで遊んだ後の若者たちが、無数にあるディスコに集まるため、また違った一面を垣間見ることができます。
ヴァルポリチェッラの丘は、ワインの生産で有名な場所ですし、レッシーニ山ではサイクリングなど様々な野外スポーツを楽しむことができます。緑が豊富な美しい自然の道を自転車で探索したり、歩いたりする途中で、息をのむような景色に巡り合うこともあるでしょう。
ヴェネツィア、マントヴァ、ミラノ、パドヴァ、トレント、ボルツァーノ、フェッラーラなどの素晴らしい諸都市にも、電車に乗って一時間前後で行くことができます